なぜ、ビジネス経験が長い私が、企業コンサルだけではなく個人コンサルもするのか

2006年、最初の転職の際の休暇を使って、わたしはキリマンジャロを目指しました。自信のなかったその登頂にむけてヨガの呼吸法を練習して臨んだのですが、身体的に極限の本番で、そのトレーニングの有効性を身をもって感じました。

それが最初だったと思います。ゆっくり呼吸をしながら、自分の体に傾聴した。

「ワークライフバランス」という言葉もない時代、左脳優位で仕事に没頭する中で登山を趣味としていました。非日常の中で、普段は置き去りの身体性を呼び起こし、バランスを取っていたのだと思います。

2011年、二度目の転職の際の猶予を利用して、ヨガ講師育成コースを修了しました。職業として目指したのではなく、体系立てた深いところも知りたくて。

2016年まで勤めた大企業・Googleは素晴らしい会社でした。そこで、職場の生産性と心理的安全性の相関について実感し、マインドフルネス・ブームの原型となる内製研修を受講する機会も得ました。自分の全体性に目を向けることを推奨するそんな組織だから、私は辞めるタイミングに気づけたとも思います。

職歴の中で一番長かったのはビジネスプランニングの仕事です。企業を動かすのは国際言語としての数字であり、動かざるファクトです。それを仕事にしている間は、わたしは数字の守り人でした。

でも、組織を辞めて、個人で様々な課題を持つ日本の会社や人と関わるようになった時に、わたしは自分の見える世界が全く変わってしまったと感じました。

組織存続の前に、そこにいる個人が苦しんでいたら楽にしてあげられるような声をかけたい思いました。でも、それまで長い間、個人のファクトである「ものの見方」よりも企業のファクトである「数字」に忠実な仕事をしてきた私は、優しい言葉の使い方がわかりませんでした。

それを身に付けたいと思っていたら…いろいろあってこうなりました。

数字を扱う仕事をしていた時、同じ数字(ファクト)について話しても、その人のものの見方(ファクト)は千差万別の色彩を帯びるもんだなと感じていました。その二種類は全く違うようにみえて共通点もあります。それは企業でも個人でも、まず自らのそれを直視するところから未来が拓けるということです。

自らのファクトと向き合うというのは、簡単なようで難しいものです。一部しか見ていないのにそれが全部に思えて竦む人もいます。絶対と思っていたことの乳代がある時ガラッと壊れて、足場を失い愕然とする人もいます。

基本はなんでもありですが、苦しい時には、それをちゃんと調べて見たほうがいいのです。直視すれば案外怖いことはなくて、すっきりと先に踏み出すことができるようになるものです。

逆に、見ないふりをしたり、隠したりしていると…企業が会計の粉飾をするのが破滅の始まりであるのと同様に、人も、どんどん苦しくなります。

だから、必要だと言ってくださる方に対しては、私はこれまでの自分の経験をかけたコンサルティングを提供します。基本は言語的なやり取りで次の一歩に踏み出していくお手伝いをするのですが、左脳右脳の両方から身体性・全体性にアクセスする催眠療法の手法を使うこともあります。

「慣習的」であることを「自然」であることと取り違えて、不要な痛みを生じている人が、しばし普段の「ものの考え方」からちょっと距離を取って息をつけるように。そして、明日からをより自分らしく楽しく生きるための気付きを得られますように。

人から受けた親切を他の人に返すことを英語では「Pay it forward」と言います。仏教用語の「縁起(えんぎ)」も、それに近い意味のようです。

自分の知識を社会に還元する企業の仕事を頂けるのは嬉しいことです。また、ひとりひとりと向かい合い再現性のない時間をご一緒するカウンセリングも、自分をここまで生かしてくれた世界に対する縁起として続けたいのです。