なぜ、個人コンサルも提供するのか

2000年に社会人になってから私は登山を趣味にしていました。「ワークライフバランス」という言葉もない時代。左脳優位で、身体は置き去りの仕事をする傍らで偉大な自然の癒しに触れることで、バランスを取っていたのだと思います。

2006年の最初の転職の際に、休暇をとってキリマンジャロを目指しました。初めての海外登山、5,895mの高み。事前にヨガの呼吸法を練習して臨み、自分にとっての極限の場で、身体に傾聴することの有効性を実感しました。

仕事が好きで健康が取り柄の私でしたが、30歳前後で「このままだと体を壊す」と感じて、昼も夜もない働き方を変えようと思いました。それで2011年に2度目の転職をする際に、ヨガ講師育成学校に通いました。細々と続けてきたヨガの体系まで知って、自分の体を整えたくて。

次に勤めたGoogleは素晴らしい会社でした。そこで、職場の生産性と心理的安全性の相関について実感し、マインドフルネス・ブームの原型となる内製研修を受講する機会を得ました。そして、素晴らしい友人たちの助けを借りて、40歳を迎える節目の2016年、企業勤めを辞める決意をしました。

そんな、合計17年にわたる私の企業勤めの職歴の後半は、私はビジネスプランニング(売上収益分析)に携わってきました。組織を動かすファクト、国際言語としての数字を司る役目に誇りを持って仕事をしてきました。でも、組織を辞めてから、コンサルタントとして様々な課題を持つ日本の会社や人たちと関わるようになった時、私は、見える世界が全く変わってしまったように感じました。

組織のゴーイングコンサーンの前に、そこで苦しんでいる人がいたら楽になるような言葉をかけてあげたいと思いました。でも、長い間、個人のファクトである「ものの見方」よりも企業のファクトである「数字」に忠実な仕事をしてきた私は、優しい言葉の使い方がわかりませんでした。(正直なところ、自分が企業の中で数字の守人をしていたは、葛藤や苦痛を抱えながら働き続ける人に目を向けることはほとんどなかったのです。)

優しい言葉の使い方...それを身に付けたいと色々取り組んでいるうちに…こうなりました。

数字を扱う仕事をしていた時、同じ数字(ファクト)について話しても、その人のものの見方(ファクト)は千差万別の色彩を帯びるということには気がついていました。その二つは時に全く噛み合わないのですが、別の視点からみると共通点もあるように思います。

企業でも個人でも、まず自らのファクトを直視するところから未来が拓けるということです。

苦しい時、それを直視するのは勇気がいることです。でも、企業がコンプライアンスを無視することが破綻の始まりであるのと同様に、人も自分にとって不都合なことに蓋をして見ないふりをしているとどんどん苦しくなっていきます。

だから、必要だと言ってくださる方に対しては、私はこれまでの自分の経験をかけて、その苦しさを脱する手伝いをしたいと思っています。痛みの根底にある「こうあるべき」とか、「こうしてはいけない」とかいうような慣習をとりのぞき、自分の身体性を信じて、深い息をつけるように。そして、明日からをより自分らしく楽しく生きるための気付きを得られますように。

人から受けた親切を他の人に返すことを英語では「Pay it forward」と言います。

自分の経験を社会に還元できる機会をいただけるのは嬉しいことです。それが企業のお役に立つことでも、ひとりひとり再現性のない個人の方と向かい合うことでも。そのような仕事を、自分をここまで生かしてくれた世界に対するお礼として提供していきたいと考えています。